急台頭する中国を念頭に置いて策定された「国家安全保障戦略(新安保戦略)」は昨年12月、国家安全保障会議と閣議で決定され、新たな防衛計画の大綱などの指針となった。
それまでのわが国の防衛戦略は1957年に制定された「国防の基本方針」だった。そこでは「侵略を未然防止し、国の独立と平和を守る」ことがうたわれ、基本方針として(1)国連中心に世界平和を追求(2)民生を安定させて防衛基盤を確立(3)国力国情に応じた防衛力の整備(4)日米安保体制を基調とする-の4項目が定められた。その根底には平和憲法を踏まえた当時の政治情勢が色濃く反映されていた。
新安保戦略は安倍内閣の政治姿勢と国会での与野党勢力関係の変化を踏まえて、「国防の基本方針」に替わるべき国家レベルの安保戦略として策定された。新安保戦略は国家安全保障会議で定期的に評価が繰り返されることになる。
新安保戦略の内容は、わが国益と国家の安全保障を守る目標として(1)抑止力を強化した直接脅威の排除(2)日米同盟の強化と地域の安定(3)普遍的価値に基づく国際秩序維持-が掲げられている。