□幸福実現党党首・釈量子
--安倍晋三首相が賃上げを呼び掛けています
2014年春闘の労使交渉が始まりました。政府自ら賃上げを求めるという異例の要請に対して、業績が好調な大企業を中心に前向きに取り組む動きも見られます。労組側が経営側からベースアップ(ベア)を含む回答を引き出せるかどうかが焦点となっています。
確かに労働者の平均給与はピーク時の1997年の467万円から、12年には408万円と約60万円も減りました。アベノミクスで上向いた業績を賃上げや設備投資に回し、デフレの脱却と景気の好循環につなげていきたいところです。菅義偉官房長官も5日の記者会見で、同日スタートした春闘について「一時金も望ましいが、それよりもやはりベースアップが望ましい」と述べており、賃金水準を一律に引き上げるベアの必要性を強調します。
しかし、業種や企業規模、地方によって業績はまちまちであり、政府の一律要求は筋違いです。なにより、4月から消費税率を8%に上げ、さらに来年10月から10%に上げるのを前提にした「賃上げ要請」には、まるで首を絞めながら、それでも笑えと言うような“怖さ”を感じずにはいられません。消費者物価は上昇し、家計の負担が増し、消費が冷え込み、景気の腰が折れたとき、責任を取るのは民間です。
茂木敏充経済産業相も7日の参院予算委員会で、大手企業の春闘の結果がまとまる3月中旬以降、企業の賃上げ状況を把握し、東証1部企業については企業名も含めて結果を公表するという考えを示しました。政府による圧力に見えなくもなく、政府の口出しは社会主義国のそれに近づいてきたようです。