【シドニー=塩原永久、ワシントン=柿内公輔】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が23日採択した共同声明は、自国の金融政策が世界に多大な影響を及ぼす先進国と、国内の経済構造に課題を抱える新興国の双方に注文をつけ、市場の不安解消へ国際協調を演出した。米国は量的金融緩和の縮小に一段と慎重なかじ取りが求められる。
閉幕後に記者会見した日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は「(先進国による)世界経済への影響に配慮する文言は、これまでのコミットメントをより明確化したものだ」と説明した。
米国が1月から量的金融緩和の縮小を始めると、新興国通貨が軒並み急落した。新興国や国際機関からは米国の対応を懸念する声も少なくなかった。
国際社会の厳しい視線の背景には、内向き志向を強める米国への強い不満がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が「市場混乱は米経済に大きなリスクではない」と言い切ったことも、新興国の反発を買った。
一方、通貨下落が激しかった国も、経常収支や高インフレなどの自国の経済・財政運営で問題を抱えている。日本を含めた先進国は「新興国は政策努力で是正するのが重要」(麻生太郎財務相)と米国支持に回っり、共同声明では「いくつかの国に残る脆弱(ぜいじゃく)性」をG20が抱える課題のひとつと指摘した。
このため声明は米金融政策を念頭に「世界経済に与える影響に考慮し、注意深く調整し、明確に説明する」と米国に念を押すことで、新興国もひとまず矛を収めた形となった。