4日の東京市場はロシアの軍事介入をめぐるウクライナ情勢の緊張を背景にした投資家のリスク回避が一服し、日経平均株価は5営業日ぶりに反発した。ただ、事態の長期化が日本経済に打撃を与えるのは必至。安倍晋三首相とプーチン大統領が首脳会談を重ねた結果、官民を挙げた両国の経済協力の機運がかつてないほど高まっていただけに、今回のウクライナ情勢の緊迫化はその熱気に冷水を浴びせた格好だ。
「極めて憂慮している。経済制裁などを避け、外交努力で平和裏に解決することを願う」。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は4日の会見で、ロシアの軍事介入をめぐる世界情勢の緊張に強い懸念を表明した。
影響が大きいのは資源エネルギーの分野だ。
東京ガスと東京電力は平成21年から石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」で生産された液化天然ガス(LNG)を調達している。両社は調達量の1割程度を「サハリン2」に依存。「経済制裁による影響は見当がつかない」(東ガス広報)と神経をとがらせる。
また、ロシアは欧州2位の自動車市場の規模を誇り、景気を牽(けん)引(いん)する日本の自動車産業も懸念を募らせる。トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車は現地に工場を構え、「事態が長期化すれば、生産・販売に影響が出るのは避けられない」(自動車大手幹部)。
ネックは部品の調達だ。現地メーカーの部品は品質面で先進国が求める水準に達していないからだ。トヨタ自動車のサンクトペテルブルク工場では、部品を日本から輸出して現地で組み立てている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)などによると、ウクライナの日系企業の登録数は約40社だが、実働数は21社程度とみられる。一方、リーマン・ショック後に落ち込んだ日露貿易額は順調に回復し、24年、25年と過去最高を更新するなど、両国の経済的な結びつきは強まっている。
こうした中、経済協力をさらに進展させようと、官邸主導で日露交流促進官民連絡会議が発足。大手商社に加え、医療や都市開発、インフラ、農業、流通などのトップ企業が名を連ねるなど、官民の協力体勢を構築している。しかし、今月中旬に予定される日露投資フォーラムの開催が危ぶまれるなど、両国の経済協力強化へ向けた機運が後退する懸念が出ている。