インターネットを通じて海外から国内に配信される音楽や電子書籍のデジタル配信に、消費税が課税されることが確実となった。政府税制調査会(首相の諮問機関)の部会が4日、海外拠点からのネット配信サービスへの課税を平成27年度税制改正大綱に盛り込むことを求める方針を明らかにした。現在、消費税分だけ料金が割安になっている海外からのネット配信の価格優位性は今後薄れそうだ。
海外ネット配信に課税するのは、現在は国内拠点からの配信だけを課税対象にしており、国内拠点から配信サービスを提供している事業者から、不公平との不満が強まっているためだ。
消費税率は4月に8%へ引き上げられ、来年10月には10%へ引き上げられる予定。増税により、国内と海外の配信サービスの価格差が広がるため、10%への引き上げを控えて競争条件をそろえる。
同日の部会終了後の記者会見で、座長の田近栄治一橋大特任教授は海外ネット配信に対する課税について「27年度の(与党税制改正大綱での)改正を目指す」と表明した。
具体的には、消費税法の改正を27年度税制改正大綱に盛り込む。海外から日本の個人向けにネット配信する事業者に対し、「納税管理人」と呼ばれる税金支払いの代行者の設置を日本国内で義務付け、税金を徴収する。
日本の消費税は、税関を通って輸入されたモノには課税されるが、ネット配信は税関を通らないため課税できず、税の「抜け穴」とされていた。
大和総研の米川誠主任コンサルタントによれば、海外から日本の個人や企業向けへのネット経由のデジタル配信額は24年で5119億円。単純計算で、約256億円の消費税を取り損ねたことになる。