福岡で生活して丸2年。確かに住みやすい。ここで規制緩和し、起業を後押しすれば国際企業が誕生するとの夢を描きたくなるのもわかるが、制度整備だけでいいのか。
マイクロソフトやアップルなどの米ベンチャー、トヨタやホンダといった日本を代表する企業は創業者の熱い思いから生まれた。「○○をしたい」という若者を育てなければ、新しいビジネスの芽は出ない。
2014年版中小企業白書によると、12年の起業希望者は約84万人で1997年の約167万人から半減した。デフレ不況下で、起業後の生活不安などが起業希望を萎縮させたようだ。
白書の記事を読みながら、アップル創業者、スティーブ・ジョブズ氏が米スタンフォード大の卒業式で若者たちに贈った言葉を思い出した。「ステイ・ハングリー。ステイ・フーリッシュ(ハングリーであれ。愚か者であれ)」。創業特区に必要なのは、どんな環境にも立ち向かう「ハングリーで愚かな者」を認め、育てる風土ではないか。(産経新聞西部本部副本部長 遠藤一夫)