茂木経産相ら月内に訪中 首相の靖国参拝後初 関係改善へAPEC活用

2014.5.9 11:20

 茂木敏充経済産業相が17、18両日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に出席するため中国・青島を訪問することが8日、分かった。昨年12月の安倍晋三首相の靖国神社参拝後、閣僚の訪中は初めて。森雅子少子化担当相もAPEC関連会合のため今月下旬の訪中で最終調整している。首相は11月に北京で行われるAPEC首脳会議で習近平国家主席との首脳会談を実現させたい意向で、関連会合に閣僚を送り込んで日中関係改善の地ならしを進める。

 日中関係をめぐっては、自民党の高村正彦副総裁ら超党派の日中友好議員連盟の訪中団が5日、北京で中国共産党序列3位の張徳江全国人民代表大会常務委員長と会談した。高村氏はAPEC首脳会議に合わせた日中首脳会談に応じるよう要請した。自民党の議員連盟「アジア・アフリカ問題研究会」(野田毅会長)の訪中団も7日、北京入りしており、関係改善に向けた動きが活発化している。

 今年のAPECは、13年ぶりに中国が議長国を務める。アジア太平洋地域で存在感を誇示したい中国はAPECを重要な外交舞台に位置づけている。首相の靖国神社参拝後、関係が悪化している日本に対しても「APECに関しては経済以外の話題を持ち出して敵対する姿勢はみられない」(政府関係者)という。

 首相はAPEC首脳会議に向け、相次ぎ開催される閣僚級などの関連会合を日中両政府の重要な接点とみており、閣僚だけにとどまらず、副大臣や政務官も積極的に派遣する方針だ。

 茂木氏が出席する貿易相会合は、APECの主要テーマであるアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に向けた議論を行う。ただ、現時点で茂木氏と中国の担当閣僚との個別会談は予定されていない。

 森氏は20~22日に北京で開かれるAPEC女性・経済担当相会合への出席を検討。「女性の活用」を政権の重点政策に据える首相としては、森氏の派遣で日本の取り組みをアピールしたい考えだ。

 第2次安倍政権の閣僚の訪中は、昨年9月に下村博文文部科学相と山本一太沖縄北方担当相が大連で開かれた夏季ダボス会議に参加して以来となる。

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