長身でだみ声。挑戦的なセリフを吐くことで知られており、最近は大手ヘッジファンド、パーシング・スクエアを率いるビル・アックマン氏を「泣き虫」とこき下ろした。根がいじめっ子なのだろう。
個人資産は推計で、なんと240億ドル(約2兆4614億円)。カール・アイカーン氏は米国で最も知られた投資家の一人だ。もともとは乗っ取り屋として頭角を現し、ここ10年来はモノ言う株主として経営者に恐れられてきた。
バリュー投資で知られる投資会社バークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェット氏を米国金融市場の「善玉」とするなら、アイカーン氏は好んで「悪役」を演じている。
最近は今年4月にマンハッタンの投資家会議で姿を現している。高額報酬をはみながら経営資源を無駄にする米国の経営者を痛烈に批判し、会場の参加者は拍手を送っていた。
「悪役」といっても、投資の腕前は優れており、なんだかんだ言っても、ウォール街はアイカーン氏を畏敬している。企業の内在的価値を見抜く天才であり、数年前に株価が低迷していたネット番組放映のネットフリックスに投資した実績がある。昨年、アップルが株主還元に踏み切ったのもアイカーン氏からの圧力があったからだ。
そんなウォール街の梟雄(きょうゆう)の周辺で、にわかに不祥事疑惑が起きている。
今週初め、アイカーン氏が運営する投資会社アイカーン・エンタープライゼスの株価が急落した。理由は、先週末に米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた特報だ。
WSJによると、米連邦捜査局(FBI)と米証券取引委員会(SEC)がゴルフ選手のフィル・ミケルソン氏による株式売買を調査しているのだという。銘柄は米家庭用洗剤メーカー、クロロックスだ。