【ビジネスアイコラム】植物工場が示す農地保護の意味 (1/2ページ)

2014.6.23 05:00

 植物工場は「農地」なのか「工場」なのか-。農地ならば、固定資産税の減免などさまざまな優遇措置を受けられるが、工場ならば税負担は重くなる。同じ目的の土地なら同じ負担でも良いのでは? と思うのだが、「耕作」ができないと農地とは言わないらしい。

 国内最大級の植物工場が今月、千葉県柏市で本格稼働した。レタス、グリーンリーフなど15種類以上の野菜を1日に約1万株生産・出荷できる能力を持つ。三井不動産が開発した「柏の葉スマートシティ」近くの工業団地内に用地を確保し、三井ホームが木造で工場を建設。南極昭和基地にも納入実績のあるベンチャー企業「みらい」が、狭い室内空間に10段以上の栽培棚を設置して蛍光灯や発光ダイオード(LED)の光で植物栽培する完全制御型水耕栽培システムを稼働させた。

 植物工場は常磐自動車道と国道16号線が交差する柏インターチェンジのすぐ近くにあり、周辺には住宅も建っている。工場内で収穫された野菜はその場でパッキングされてスーパーなどに出荷。農地での栽培と比較して肥料は半分、水は50分の1で済み、農薬も使う必要がない。初期投資やエネルギー費用を差し引いても十分に採算を確保でき、モンゴルやロシアなど海外からも植物工場の引き合いがきている。

 2年ほど前、この植物工場の実験棟を柏の葉にある千葉大学キャンパス内で見学させてもらった時には「本格普及のネックは固定資産税だ」との話を大学教授から聞いた。例えば広さ10アール(1000平方メートル)で固定資産税が年間1000円の農地が、三大都市圏の市街化区域で宅地並課税されると税額が数十万円になる。農地には、野菜を栽培する目的でも工場は建てられない。建てる場合は転用許可が必要になり、固定資産税が一気にアップして、露地ものに比べて割高になるというわけだ。

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