安倍晋三首相が9月の内閣改造で菅義偉(よしひで)官房長官を留任させるのは、長期安定政権を実現するには菅氏の存在が不可欠だと判断したからだ。官房副長官や首相補佐官も現体制を維持し、改造後も官邸主導で諸課題を乗り切る構えだ。裏返せば、他の閣僚は大胆に刷新する意向とみられる。
第2次安倍政権が発足してから今月17日で600日を迎え、閣僚が一人も交代しない戦後最長記録を更新している。そうした中で踏み切る内閣改造。「自民党には老壮青と豊富な人材が雲霞(うんか)のごとく存在している。今のメンバーも含めて新たな分野にフレッシュな気持ちで取り組む時期に至った。政策推進力をパワーアップしたい」。首相は8日の産経新聞のインタビューで、改造で人心一新する考えを表明した。
そして、「デフレ脱却は道半ばで、景気回復の風は全国津々浦々に届いているわけではない。新たな安全保障法制についても法整備を本格化していかなければならない。こうした課題に真正面から取り組む態勢を整えたい」とも語った。
首相が、菅氏をはじめ官邸メンバーの留任を早々と明かしたのは、改造により官邸の政策調整能力が弱まることを避けたいとの思いがあるとみられる。