内閣官房参与で静岡県立大教授の本田悦朗氏は26日、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、来年10月に予定している消費税率を現行の8%から10%に引き上げることについて「今の日本経済に再増税はリスクが大きい。現時点では上げるべきではない」と述べ、再増税に慎重な姿勢を示した。再増税を見送った場合、財政健全化が後退するとの懸念については「増税を延期する場合、いつまで延期するかなど財政再建を行う意志をきちんと説明すれば日本が国際的な信認を失うことはあり得ない」と明言した。
今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前期比年率6.8%のマイナスに落ち込んだ背景について、本田氏は「足元の景気回復を牽引(けんいん)してきた消費は円安株高に伴う資産効果によるもので、所得が増えて消費が伸びるのに比べ増税ショックに弱い」と分析。7~9月期の経済成長率については「数字がよいだけでは増税の環境が整ったとはいえない。8月に全国で発生した自然災害は消費心理に悪影響を与えるし、現時点ではあまり良くないと予想している。特に消費と設備投資で自律的な成長が見られて初めて、アベノミクスが再起動した状況になる」と強調した。
財政健全化への取り組みについては「財政健全化は国際公約だが、増税は違う。日本は消費税率が外国に比べ低い上、世界3位の経済大国だ。半年、1年程度増税を遅らせても国際的な信認が崩れる心配はない」と述べた。
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【プロフィル】本田悦朗
ほんだ・えつろう 東大法卒。1978年大蔵省(現財務省)入省。大臣官房政策評価審議官などを経て、2012年4月から静岡県立大教授(専門は金融論・国際金融論)。12年12月の第2次安倍晋三内閣発足に伴い、内閣官房参与に就任。59歳。和歌山県出身。