【論風】一橋大学名誉教授・石弘光 法人税率引き下げの課題 (1/3ページ)

2014.8.28 04:30

 ■第3の矢にかける首相の執念

 政治問題化した法人税率の引き下げは、安倍晋三首相の執念により実現しそうである。現在日本の法人税の実効税率は34.6%と、米国の39.5%に次いで世界で2番目に高い。これは近隣の中国の25.0%、韓国の24.2%と比べより高く、日本企業の国際競争力を阻害し、また海外企業の日本への投資をためらわせ、アベノミクスの成長戦略と相いれないと首相は考えているのは明らかである。

 安倍首相は就任早々からこの問題に関心を持ち2014年度税制改革で、まず復興特別法人税を1年前倒しで廃止し民間の賃上げの要請に結びつけた。そして今年、スイス・ダボスでの国際会議で「更(さら)なる法人税改革」という形で税率引き下げに言及。その後も機会を見つけては国際公約を行ってきた。これにより既成事実を作り、外堀を埋め国内的な議論を誘導しようとする戦略といえよう。事実これと呼応する形で経済財政諮問会議や自民党の若手・中堅議員らが、法人税率引き下げを盛んに主張し側面から支援を送っている。

 確かにわが国の法人税率は、国際的に見て高い。企業経営者のみならず経済学者からその引き下げが主張されるのも、一理あるといえよう。当面の目標は20%台、より現実的にはドイツの29.6%に並ぶ水準に置かれている。安倍首相は来年度から引き下げに着手すると明言し、これが実現しそうだが、その強権的なやり方には当然のこと批判の声も高まっている。

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