環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉官会合が1日、ベトナム・ハノイで始まり、10日までの日程で、知的財産など難航分野の着地点を探る。月内に交渉がどこまで進むかは参加国が目指す11月の大筋合意への“試金石”となるが、交渉を主導する米国が中間選挙を控えて身動きがとれず年内合意すら危ぶむ声も根強い。日本も来年4月の統一地方選が近づくほど交渉を進めづらくなる事情を抱え、危機感を強めている。
「今回の交渉は今後の方向をみる上で重要な意義を持っている」。鶴岡公二首席交渉官は同日、ハノイへの出発前に羽田空港で記者団にこう語り、交渉の進展に強い意欲をみせた。
会合は、知的財産のほか国有企業改革や環境といった難航分野で各国が歩み寄り、政治決着するための閣僚会合の開催にめどをつけられるかが焦点だ。
会合と並行して3日からは米ワシントンで自動車の市場開放をめぐる日米の事務レベル協議が予定され、9日からは東京で農産物の関税の扱いに関する日米協議も再開する。