中国では2011年7月に温州郊外で発生した高速鉄道の大規模事故の後、高速鉄道の建設規模が大幅にダウンした。ところがそれもつかの間、今年に入ってから再び建設に拍車がかかっており、専門家の口からは、夢のような建設構想が次々と飛び出している。
高速鉄道の建設規模が再び急増しているのは、景気対策の一環という意味合いが大きい。だがそれだけではない。8月下旬に中国鉄路総公司を視察した李克強首相は、高速鉄道建設を「経済成長だけでなく、社会調和、都市化建設にも役立つ。一石二鳥どころか一石多鳥だよ」と高く評価。ボルテージの上がった李首相はさらに「自分は海外に行くと、いつも高速鉄道を売り込んでいる」と自慢げに語った。高速鉄道はいまや中国外交の切り札、と言わんばかりだ。
中国政府は2020年までに、総延長1万6000キロの高速鉄道建設計画を打ち出しているが、具体的なプロジェクトの中身はまだ一部しか公表されていない。ところが最近になって、技術分野の最高研究機関である中国工程院の専門家の口から、遼寧省大連と海南省三亜を結ぶ「沿海高速鉄道」が検討されていることが明らかになった。総距離は5700キロで、実に11の省・直轄市を通り抜けていく。
さらに注目されるのは、周辺地域にまたがる高速鉄道の建設にも意欲的なことだ。まずは雲南省昆明からラオス、タイを通ってシンガポールに至るルートである。これが完成すれば、メコン川流域の開発が一気に進み、昆明は同地域の中心都市になっていくだろう。