海外の投資家でも長期の運用を目指す年金基金やプライベートバンク、投資会社などは、むしろ、このガバナンス改革の行方に注目している。専門性が高い独立した組織が運用方針を決めれば、いまよりも海外資産への投資が増える可能性が出てくる。巨額の資金が海外市場に流れれば、そのマーケットの価格は上がる。日本から海外へと資金が動けば、為替にも大きく影響する。さらに、海外の運用会社などからすれば、GPIFの海外資産での運用が増えれば、自分たちの大きなビジネスチャンスにもなる。
もちろん、自らの権限が剥奪されることになる厚労省は、ガバナンス改革に消極的だ。それだけに、海外投資家からすれば、日本が変わるかどうかの試金石としてGPIFのガバナンス改革を見ている面も強い。抵抗が強い役所のトップとしてどう改革を進めるのか。塩崎厚労相の手腕が問われている。(ジャーナリスト 磯山友幸)