■正確な情報入手、アジア不動産投資の鍵
不動産の投資先として、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が注目されている。経済成長率はおおむね4~7%台で推移し、今後も継続的に高い成長率が見込まれているのに加え、日本から近くて物件を確認しやすいこと、歴史的に親日国が多いこと-などが、その背景となっている。しかも、2015年末にはASEAN経済共同体(AEC)が発足する予定で、人口が6億人を超える規模の一大経済圏が誕生する。経済統合前の今は、投資のチャンスとなっている。
ところがアジアの不動産市場は、投資を躊躇(ちゅうちょ)してしまうネガティブな情報が出回っている。国土交通省が14年8月にまとめた「海外投資家アンケート調査」においても、不動産市場における商品(不動産)の多様性、不動産投資関連情報の入手容易性(透明性)の評価が低くなっている。
例えば、フィリピンの物件を扱っている日本の不動産業者は人気物件の購入の権利を得るための予約金をデベロッパーに払わず、自社で着服していた。内部告発で、社員が購入者にその顛末(てんまつ)を告げたため予約金は戻ってきたが、同様の詐欺を他の人にしていたかもしれない。その会社は社名を変更し、営業を続けている。
また、現地デベロッパーの側に立ってみると販売開始時に真っ先に案内するのは自国内のVIP顧客からになる。海外はまず中国、シンガポール、台湾の華人系市場を狙う。華人の富裕層は資産の桁が違うし、人脈を重視するからだ。その次は日本より規模が大きいうえに、英語が通じる欧米市場に向けて営業をかける。
日本には良い物件情報がなかなか回ってこず、自分で仕入れるしかない。正確な情報を広めていくことが急務といえる。