フィリピン政府は、2011~16年までの総額4兆1900億ペソ(約10兆141億円)規模の公共分野の開発事業を推進している。アキノ政権の任期が終了する16年までに事業を加速させ、雇用創出の拡大など国民が実感できる経済成長を果たすことが目的だ。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。
13~16年にかけては3兆4400億ペソ規模の開発事業を実施する。事業の内訳をみると、全体の53.3%に相当する1兆8400億ペソがインフラ事業、21.1%の7278億ペソが社会開発事業、15.2%の5227億ペソが農林水産事業、4.8%の1662億ペソが環境関連事業などとなっている。
また、財源に関しては、全体の約8割を中央政府からの支出とし、残りは民間投資や地方政府の支出などとする。
国家経済開発庁のバリサカン長官は昨年、国内総生産(GDP)成長率が7.2%となるなど高成長を達成しながらも、国民の生活向上にまでいたっていないと指摘。国全体で誰もが経済成長の恩恵を受けることができるよう事業推進に注力する姿勢を示した。
同国の経済開発指針となるフィリピン開発計画では、5人世帯で必要最低限とされる世帯月収8022ペソを下回る貧困層の比率を、08年の28.2%から16年6月のアキノ政権の任期終了までに16~18%に改善することが目標だ。残りの任期が2年を切った同政権のかじ取りが試されている。(シンガポール支局)