安倍晋三政権による「アベノミクス」の最大の成果である円安が、国内で事業を行う中小企業にとって大きな重荷になってきた。市場では中期的に1ドル=140円に向かう見方も出る中、「これ以上はしんどい」と悲痛な声も出ている。12月14日の投開票日に向けて衆院選の選挙戦が事実上スタートしているが、円安がさらに進めば不満の声が一層高まる可能性もある。
「円安で原材料費が20%以上も上がり利益を圧迫している。だが、一部取引先から『当面は取引価格を据え置いてほしい』と言われ、困っている」
昨年、水深7800メートルの超深海で深海生物の動画撮影に成功した無人深海探査機「江戸っ子1号」の開発に携わった杉野ゴム化学工業所(東京都葛飾区)杉野行雄社長は、そう現在の事業環境の厳しさを語る。
この2年間でアベノミクスにより円安は37円超進行。特に今年10月末の日銀による追加金融緩和以降はテンポを速め、先週は一時1ドル=119円台に迫った。