フィリピンは、政府と反政府勢力との武力紛争で発展の遅れた南部ミンダナオ島バンサモロ地域の開発を目指す。現地経済紙ビジネス・ワールドによると、和平合意の当事者のモロ・イスラム解放戦線(MILF)のバンサモロ開発庁(BDA)は、国際協力機構(JICA)などの支援で「バンサモロ開発計画」を策定。2014~16年までの総投資額は2260億ペソ(約5920億円)に達する見通しだ。
同計画によると、バンサモロ地域は40年以上続いた紛争によってフィリピン国内で最も発展の遅れた地域の一つとなっている。昨年の同国の経済成長率は7.2%だったが、同地域では3.6%にとどまっており、1人当たり国内総生産(GDP)も全国の11万7603ペソに対して2万9608ペソだった。
さらに、12年の同地域の貧困率は55.8%で、全国平均の25.2%を大きく上回る。住民の63%が小規模な零細農業を営んでいるが、農地から市場への道路舗装率は0.5%、灌漑(かんがい)普及率は25.8%にとどまるなどインフラ整備の遅れも深刻だ。