事前の民間予測では、速報値より改善するとの見方が大勢だった7~9月期の国内総生産(GDP)の改定値だが、蓋を開けてみれば年率で0・3ポイントの下方修正となった。大企業で持ち直しがみられた設備投資が下方修正されるなど、安倍政権の経済政策「アベノミクス」効果が中小企業まで浸透していない実態を浮き彫りにした格好だ。このままでは、年度ベースで5年ぶりとなるマイナス成長も現実味を帯びてくる。
改定値が下方修正となった最大の要因は、速報値の前期比0・2%減から0・4%減に悪化した設備投資の低迷だ。財務省が1日発表した7~9月期の法人企業統計では、設備投資(金融・保険業とソフトウエアを除く)が前期比3・1%増で、市場ではGDP改定値は上方修正されるとの見方が大半だった。
だが、法人企業統計の対象外だった小規模事業者などの設備投資が弱含んだことで、改定値は下方修正。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは、「大企業に比べ、中小企業の回復が弱いということではないか」と分析する。
市場では今年度の成長率にも悲観的な見方が広がっている。2四半期連続のマイナスを取り戻すには、残り2四半期とも年率2%程度のプラスが必要となる。日本総研の下田裕介副主任研究員は「実質GDPで0・7%減のマイナス成長になる」と予測する。