平成26年10~12月期の実質GDP速報値は年率2・2%増となり、年率3%台を中心とする事前の市場予想とは1ポイント近い開きがでた。このため、市場からは「物足りない数値」と受け止められた。事前予想との“誤差”の背景には、財布のひもを緩めない消費者心理の読み違いがあるとみられる。
10~12月期の民間予測を狂わせた要因は、個人消費だ。事前予測では、SMBC日興証券(1・0%増)▽大和総研(0・9%増)▽三菱UFJリサーチ&コンサルティング(0・8%増)-のように高めの数値が並んでいた。だが、この日発表された速報は、前期と同じ0・3%増にとどまり、民間予測とのズレが目立つ結果となった。
民間各社が個人消費を強めにみたのは、9年4月の消費税率5%への引き上げ後、7~9月期には需要が回復していたという“前例”があったからだ。アナリストらは、昨年7~9月期にも0%台後半とプラス予測をしていたが、改定値は0・4%と下ぶれた。個人消費は10~12月期に入っても回復に力強さが戻ってこない。
個人消費を読み違えた理由について、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「消費税増税という特殊な状況に、食料品の値上げや実質所得の伸び悩み、予想物価の上昇が重なった」との見解を示した。消費者の節約志向はいぜん強く、各社とも先行きを明確に見通すのは難しい状況だ。