18日発表された今年の公示地価は東京、大阪、名古屋の三大都市圏が住宅地、商業地とも2年連続で上昇し、都市部を中心に地価の力強い回復が裏付けられた。一方、地方では7割の地点で下落が依然続き、都市と地方の二極化が一段と進んだ形だ。都市部で都心と郊外で格差が拡大しただけでなく、地方でも同一地域内で明暗が分かれたケースもあり、地価の動向は「多極化」の様相を呈してきた。
都心マンション好調
「利便性の高い立地で、将来の資産にもなる」。40代の男性会社員が購入理由をこう語るのは、三菱地所レジデンスなどが東京・西新宿に建設中で国内初となる60階建てのタワーマンション。最高価格は3億5000万円に上るが、2月の第1期申し込みでは325戸が即日完売した。
東京では勝どきや豊洲など湾岸エリアの人気も根強く、都心の高級マンションの販売は過熱気味だ。この流れは地価に反映され、23区全体で住宅地は1.9%上昇。都心3区は中央区6.4%、千代田区6.3%、港区6.0%と上昇が続く。
だが、マンション取引は「都心部で活発な半面、郊外部では鈍い」(不動産経済研究所)。富裕層が都心の「億ション」を買いあさるのとは対照的に、郊外型マンションの購入層にはアベノミクスの恩恵が行き渡っていないからだ。