【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(24) (1/3ページ)

2015.3.20 05:00

 ■パラウンの村にも経済変容の波

 かつてビルマルートと呼ばれた、マンダレーからムセーに向かう街道沿いにあるティーボーから80キロほど山道を上ったところにナムサンという町がある。このあたり一帯に住むのは少数民族のパラウン人であり、2008年憲法では民族の名を冠した自治区が制定されている。パラウンといえばお茶、というのがミャンマーのいわば「常識」であり、パラウン民族自治区は茶畑と森林で成り立っていると言っても過言ではない。特に有名なのが、ラペッソーと呼ばれる茶の漬物で、ミャンマーを代表する食べ物の一つである。他にもアカーチャウ(緑茶)、アチョーチャウ(紅茶)、そしてラペッソーを乾燥させたアチンジャウと、茶の加工法もバラエティーに富んでいる。

 ◆紅茶工場の出現

 私がこの地に初めて足を踏み入れたのは08年1月、標高1500メートルほどのナムサンの町は、朝夕の気温が5度近くまで下がり、茶摘みが始まる3月下旬までの農閑期にあたる季節だった。茶の加工や栽培、あるいは歴史で有名な村々を回った後、ナムサンから日帰りで調査できるルエカムという村の世帯経済調査をすることにした。

 当時の村の世帯数は86。この村の娘と結婚したビルマ人教師の他は皆パラウン人だった。この世帯群を3つの階層に分けて調査した。10世帯の上層は茶畑の保有面積が広く、36世帯あった中層はそれが少なく、残りの下層は茶畑をほとんど所有していない、というように貧富の格差は保有する茶畑の面積にほぼ比例していた。

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