シュリー・クシェトラ遺跡にあるボーボージーパゴダ(寺井氏撮影)【拡大】
□アジア母子福祉協会常務理事・寺井融
ミャンマー経済発展のカギの一つが観光振興だ。アジア母子福祉協会常務理事で旅行作家の寺井融氏は今月初め、新たに世界遺産に登録された「ピュー王朝の古代都市群」を回った。寺井氏の寄稿を紹介する。
◆地方にも日本食堂
2014年6月、ミャンマー中部の「ピュー王朝の古代都市群」が世界遺産に登録された。有力な観光資源でありながら世界遺産を巡る日本からのツアーは今のところ見当たらない。そこで先日、仲間数人と世界遺産巡りをしてきた。
1日目。最大都市ヤンゴンから北へ320キロのピイに、ワゴン車で向かう。並木や田んぼの農村風景が続き、心が和む。2年前のピイ旅行では、道路脇で用を済ませた。現在は、そこここにできたガソンリンスタンドのトイレを借りることができる。ただ、コーヒースタンドまでは併設されておらず、お茶は道路沿いの食堂となる。
そんな食堂の一つ、ピイ近郊の「大阪」で、緬(めん)を食べた。汁そばではなく、日本の油そばみたい。さっぱり味でお代わりを所望した。店名は、店主が1970年の大阪万博に行ったときに料理のヒントを得たからだそうな。
ピイは古都である。人口20万を擁する中核都市だ。郊外にある世界遺産、シュリー・クシェトラ(タイエーキッタヤー)遺跡のボーボージーパゴダに行く。親指を突き立てたような太い円筒形。レンガづくりの仏塔で、金箔(きんぱく)は貼られていない。
ピイで、ぜひ夕方に訪れてほしいのはシュエナゴンパゴダである。「黄金の魂の山」の意味で、こちらは金箔の伽藍(がらん)だ。イラワジの大河を眺めながらの日没は気を引き締めてくれる。大仏もすぐ隣に立っていた。