ギリシャ債務問題は、同国が具体的な改革案を出すことを条件に、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)が4カ月間支援を延長することで合意した。しかし、その後の交渉はうまくいっておらず、ギリシャとドイツなど他国との溝は深まるばかりだ。
実はギリシャは過去200年のうち半分近くが破綻状態にあった。過去にも何度も破綻を繰り返してきただけに、ある意味、このような修羅場の乗り切り方に最もたけている国だと言ってもいいのかもしれない。
ギリシャ債務問題がなぜ再び深刻化したのか。それは脱緊縮財政を掲げて欧州各国に債務の減額や棒引きを認めさせつつ、国有資産売却を凍結し、緊縮財政で解雇された公務員を復職させる-などというとんでもない公約を掲げた急進左派政権が誕生したことに端を発する。
当然、欧州の国々はギリシャ新政権の主張を素直に認めるわけもなく、同国は信用悪化により資金調達ができなくなった。
2月の合意後、ギリシャのチプラス首相や閣僚たちは、周辺国との話し合いを行っているが求められている改革には全く応じる気配もなく、とんでもない主張と要求を繰り返している。その一例を紹介しよう。
3月上旬に放映されたドイツ公共放送の番組の中で、ギリシャのバルファキス財務相は、他国はギリシャが債務返済を怠ると認識していたはずだと主張し、「最も破綻した国に史上最大の融資を行うことは、人道に対する犯罪である」とドイツなど貸し手側の国を批判した。
さらに、3月14日には、ギリシャのカメノス国防相がドイツ紙ビルトのインタビューで「もしギリシャが破裂すれば、スペインとイタリアが次だ。そしていずれドイツも破裂する」と警告し「われわれは問題をユーロ圏内で解決すべきだがギリシャが負担を払い続けることはできない」と主張した。