□明治大学公共政策大学院教授
これまでと代わり映えのない内容であまり評価していない。日本経済や社会保障が長期に停滞した要因分析がなされていないし、政策の優先順位もないという印象だ。個別の政策自体は悪くないものの、それがどう経済発展に資するという説明も分かりにくい。例えばローカルアベノミクスの部分で「全国隅々まで人材や資金や技術が行き交う」とするのは政治的なスローガンとしてはいいが、リソースが限られる中で、優先順位をつけずに押しなべてやっても地方活性化がうまくいかないのは目に見えている。
財政再建は成長率や税収の見通しが楽観的。それでは厳しい改革ができずに先送りになる可能性があり、もっと保守的な数字を見積もるべきだ。後発医薬品の普及率目標の前倒しなど評価できる部分もあるが、もっと本質的な社会保障の見直しも必要だった。