報道陣の質問に答える甘利TPP担当相=24日、東京都千代田区【拡大】
難航してきた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に、ようやく出口が見え始めた。米国を除く交渉参加11カ国が合意の前提条件とする米貿易促進権限(TPA)法案が、週内にも成立する公算が大きくなり、交渉は7月中の合意も視野に入ってきた。参加12カ国がこの好機を生かし、難交渉に終止符を打つ期待も高まる。
「法案が可決する可能性が一挙に高まった」
甘利明TPP担当相は24日、米上院のTPA法案の採決入りを歓迎した。その上で、TPA法案が成立すれば「各国が(交渉の)最終カードを切って大きく前進する」と今後の進展に期待感を示した。
TPA法案が成立するまでは、米議会の反対で交渉の合意内容が覆される懸念がある。そのため、各国は難航分野で最終的な妥協案を出し渋ってきた。週内にもTPA法案が成立すれば、日米を含む2国間の協議が加速。12カ国の首席交渉官会合を経て、7月下旬にTPP閣僚会合を開く見通しだ。
日本の重要農産品の関税の扱いなどをめぐる日米協議について、交渉筋は「決着のめどはつきそうだ」と自信を示す。だが、全体の交渉がすんなりと合意する保証がないのも事実だ。なかでも最難関とされる知的財産では、日米と新興国の対立点がまだ数多く残る。
交渉がさらに長期化すれば、頓挫するリスクも高まる。TPA法案の早期成立に加え、今後は各国が交渉を一気に決着させる覚悟が求められる。