5日、テレビ演説するギリシャのチプラス首相(ロイター=共同)【拡大】
【アテネ=内藤泰朗】財政破綻の危機にあるギリシャで実施された国民投票は5日、即日開票され、欧州連合(EU)などが求める財政再建策受け入れに対する反対が賛成を上回った。反対に投票するよう呼びかけていたチプラス首相は5日深夜、全ての開票を待たずに勝利宣言した。EU側の態度は硬化しており、ギリシャが財政破綻やユーロ圏からの離脱、EU脱退に至る懸念が現実味を増した。
チプラス氏は5日深夜の記者会見で、「民主主義は脅迫に打ち勝った」と述べ、勝利宣言した。ギリシャがユーロ圏を離脱することはないとした上で、「6日からEU側との交渉に戻る」と強調した。投票結果を手に、EU側に債務返済で譲歩を迫る考えだ。
バルファキス財務相も5日夜、事実上、営業停止に追い込まれている同国の銀行団と会談後に会見し、欧州中央銀行(ECB)や国際通貨基金(IMF)と個別に「友好的に話し合いたい」と語った。しかし、資本規制を受けた銀行の正常化がいつ行われるかには言及しなかった。