□スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹
今回も、14日付の前回に引き続き、消費財のVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)市場の攻略について解説する。
VIPをマーケットとして捉える際、最も重要なことは、「自社が販売しようとしている商品は、そもそも伝統的小売り(TT)で売れる商品なのか否か」である。
商品的にも価格的にも、TTの販売には合わない場合、売り場は市場の10~20%の近代的小売り(MT)に限られる。そうなると、大規模な工場や現地法人を設立すれば、現状のMT市場だけではコストを吸収できない。
この連載でも繰り返し指摘してきたが、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも特にVIPは、TTの攻略なくしてシェアは取れないし、利益は出ない。従って、そもそも商品がTTでは売れないほど高価、もしくは商品そのものがTTに適していない場合、その商品のTT適合化を優先しなければ、ディストリビューション・ネットワーク(流通網)を完璧に整えても、一度はTTに置かれるが、数カ月で返品の山となる。
TT市場は、商品のTT適合化が大前提である。その上で販売現場への最適化を行わなければならない。実際にVIPのTTで売れている全ての商品は、その両方を達成している。例外などは一つもない。