環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意を急ぐ米国と市場開放に消極的とされてきたカナダが神経戦を続けている。米国は乳製品などの市場の開放による米国農家へのダメージを、カナダに市場開放をのませることで相殺したい考え。一方のカナダは安易な市場開放には応じられないとしてきたが、「カナダ外し」も見据えた各国からの圧力は強まりつつある。
2009年からTPP交渉を主導してきた米国はニュージーランドから乳製品の市場開放を求められる立場で、米国の関連業界は難色を示してきた。しかし12年にカナダが交渉に加わると、ニュージーランドへの譲歩をカナダからの譲歩で打ち消す構図が浮上した。
焦点はカナダが乳製品や鶏肉の価格維持のために生産量や輸入量を制限している制度。米国のヘイマン駐カナダ大使は25日発行のカナダの週刊経済紙でのインタビューで「ハーパー首相が何をするのかしらないが、今こそ譲歩すべきときだ」と述べ、制度の緩和を迫った。