【モスクワ=遠藤良介】ロシア大統領府は6日までに、フランスがウクライナ情勢をめぐってロシアへの納入を凍結していたミストラル級強襲揚陸艦2隻について、契約破棄に関する合意に達したと発表した。
プーチン露大統領とオランド仏大統領の電話会談を受けて決まった。フランスは違約金の支払いを済ませており、ロシア側が供給した通信装備などを揚陸艦から撤去すれば契約破棄が完了する。露経済紙コメルサントは、フランス側による支払額を11億ユーロ(約1489億円)超と報じている。
ミストラル級の1隻目は日本の北方領土をにらむ極東ウラジオストクに配備される予定だったが、この計画も立ち消えとなった。フランスは新たな売却先を模索しており、カナダやシンガポール、エジプトが関心を示しているとされる。
ミストラル級はヘリ16隻を搭載、海兵450人を輸送でき、遠隔地への兵力投入や指揮機能に優れている。ロシアは2011年、12億ユーロで2隻を購入する契約に署名。フランスは昨年9月、ロシアがウクライナ東部に軍事介入していることを理由に、1隻目の引き渡しを凍結していた。