【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(28) (1/3ページ)

2015.8.7 05:00

農業実習生のミョーさんが作ったスイカやニンジンも並ぶJA富里の産直センター=千葉県富里市(筆者撮影)

農業実習生のミョーさんが作ったスイカやニンジンも並ぶJA富里の産直センター=千葉県富里市(筆者撮影)【拡大】

 ■千葉・富里で働く農業実習生

 7月下旬、5人の大学院生を引率して千葉県富里市を訪ねた。ミャンマーからの農業実習生と受け入れ農家のインタビュー調査が目的であった。

 「先生、田んぼが全然見えませんね」と、学生たちがまず言ったように、富里の農業は畑作中心で、ミャンマーの中央乾燥地のような風景が展開している。訪問した堀越家は、春夏にスイカ、秋冬にニンジンを栽培する富里の典型的農家である。経営面積は5ヘクタールだが、所有農地は平均的な1ヘクタールほどで、あとは借地している。

 お子さんたちは農業に就業していないとのことで、初老のご夫婦だけでこれだけの面積を切り盛りするのは不可能である。どうしても労働者を雇用せざるをえない。

 ◆実習生の負担が半減

 日本人の農業労働者が見込まれない中、十数年前から外国人のアルバイトを雇用してきたが、農業に少し習熟すると辞めてしまうという状況が続いていた。そのような中で、ミャンマーからの長期実習生を受け入れたのが6年前だった。彼らは、初級レベルの日本語教育を受けているうえに、それまで雇用していたスリランカ人と比べて、座り仕事に慣れているという優位性がある、と堀越さんは話していた。

 私たちが会ったミョーさんは、堀越家2人目の実習生で、3年の研修を終えて、8月に帰国するとのことだった。彼は31歳。アウンサン・スーチー氏の選挙区として有名な、ヤンゴン南方のコームーの出身で、実家は5エーカー(約2ヘクタール)のベテルリーフ(キンマの葉)園を経営する富農である。彼自身は叔父の自動車修理場で働いていたということで、農民だったというわけではない。日本に来る実習生の多くと同様に、研修先がたまたま農家だっただけのことである。

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