政府のまち・ひと・しごと創生本部が発足して9月で1年が経過した。これまでのところ2014年度補正予算で地方自治体が発行したプレミアム付き商品券が話題になったくらいだが、最大の使命は地方を活性化して戦後70年間続いてきた東京圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)への人口集中をストップさせること。今後どのような形で具体的な成果を出していくかが課題だ。
昨年12月に閣議決定された長期ビジョンと総合戦略では、年間10万人超の東京圏への流入を止めるために、20年までに東京圏から地方への転出を年4万人増加させ、地方から東京圏への転入を同6万人減少させる基本目標を掲げた。14年の住民基本台帳人口移動報告によると、東京圏への転入者は約47万人、転出者は約36万人で、約11万人の転入超過。確かに基本目標が達成できれば、転出と転入が年40万人程度で均衡する計算になる。
ただ、日本の人口減少はこれからが本番。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(中位ベース)では60年まで年平均86万人のペースで人口が減る。東京圏の労働需給は20年の東京五輪も加わってタイトな状況が続くと予想され、転入を減らすのは容易でない。
そこで期待されるのがシニア層を中心とした地方への移住促進だ。14年の年齢別の人口移動をみても、55~69歳の層だけは東京圏から転出超過となっている。ただ、その数はわずか8000人。70歳を超えると再び転入超過となるため、55~69歳の層の移住をいかに増やすかが焦点となりそうだ。