都内のガソリンスタンド。原油安でガソリン価格は下落傾向が続いている【拡大】
日銀が「追加金融緩和」に踏み切るとの観測が市場で強まってきた。日銀が2日発表した9月の「企業の物価見通し」によると、全規模・全産業の1年後、3年後、5年後の物価予想が初めて軒並み下方修正された。物価上昇率2%の目標達成が危ぶまれる中、「追加緩和を見送れば日銀のやる気が疑われ、円高株安を誘発してしまう」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)からだ。
全規模・全産業の1年後の物価上昇率の見通しは前年比1.2%と6月の前回調査から0.2ポイント低下した。下げ幅は2014年3月の公表開始以来、最大。
回答の内訳をみると、物価上昇率の見通しを「0%程度」とした割合は5ポイント増え、「2%程度」とした割合が4ポイント減った。3年後の見通しは1.4%、5年後は1.5%でともに0.1ポイント下がった。
日銀は16年度前半に物価上昇率2%の目標達成を目指すが、企業予想との乖離(かいり)が大きくなっている。長引く原油安や中国の景気失速懸念で企業の物価観は弱含み、脱デフレに“黄信号”がともってきた。
日銀幹部は「一部の石油元売り企業はガソリン価格の大幅値下げを余儀なくされ、マージン(利幅)を稼ぎにくくなっている。こうした企業が増えれば再びデフレ意識が強まってしまう」と打ち明ける。