訪日外国人の急増が、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支の改善にも寄与し始めている。財務省が8日発表した8月の国際収支速報によると、経常収支は前年同月比6.6倍の1兆6531億円となった。訪日外国人旅行者が使ったお金から、海外で日本人が使った金額を差し引いた「旅行収支」が8月単月として過去最大の782億円の黒字となったことなどが貢献した。
経常収支の黒字は14カ月連続。輸出から輸入を差し引いた「貿易収支」は3261億円の赤字となる一方で、海外投資から得られる利子や配当を示す「第1次所得収支」は8月としては過去最大の2兆518億円の黒字となった。
8月の経常収支の伸びを牽引(けんいん)したのが旅行や貨物輸送に伴う「サービス収支」。収支は578億円の黒字となり、前年同月の2675億円の赤字から大幅に改善した。黒字転換となった最大の要因は訪日外国人観光客の急増だ。政府観光局によると8月の訪日外国人数は前年比約64%増の181万7100人となり、単月としては今年7月(191万8400人)に次ぎ過去2番目の高い水準となった。中国人旅行者を中心とした“爆買い”も続き、全国百貨店の8月の訪日外国人向けの売上高は前年同月比3.6倍の171億円と31カ月連続のプラスとなり、経常収支の改善に貢献し始めている。