【軽減税率ポイント解説】(5)インボイスの発行義務づけ

2015.11.7 05:00

 ■欧州など導入各国の工夫

 生活必需品などの税率を低く抑える「軽減税率」は、欧州などで広く普及している。日本の消費税に当たる付加価値税の税率が20%前後と高い欧州連合(EU)加盟の28カ国では、軽減税率が低所得者対策の柱と位置付けられているためだ。

 EUの中で、日本でも検討が進む食料品に軽減税率を適用する国は28カ国中21カ国。英国(標準税率20%)の場合はゼロで、フランス(20%)も5.5%に設定する。食料品以外でも大半の国が医療費や教育費の税率を軽減している。

 軽減税率は文化保護にも生かされている。フランスでは映画入場料に軽減税率を適用。活字文化保護などのために、新聞や出版物への適用も一般的だ。英国では新聞購読料への税率はゼロで、フランスやドイツでも税率は軒並み10%以下に抑えている。活字文化は「思索のための食料」との考えから民主主義を維持する上で必要な「社会的公共財」と捉えられるためだ。

 日本で課題とされている事業者の経理方式も円滑に運営されている。軽減税率を導入すると2つの税率の商品が交じるが、欧州では品目ごとに税率や税額を記したインボイス(税額票)の発行を事業者に義務付けており、経理上、大きな混乱は生じていない。

 日本では中小事業者を中心にインボイスの導入に反対する向きが強いが、同じ先進国の欧州でできて、日本でできないわけはない。先行した欧州を参考に日本型のより分かりやすい制度の設計が求められている。

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