湖北省武漢市の長江中流域で寒中水泳を楽しむ人々。長江経済ベルトの建設が近年、国家戦略となっており、自然環境保護との兼ね合いが探られている=2015年11月(中国新聞社)【拡大】
中国長江湿地保護ネットワークの年次総会が先ごろ、重慶市で開催された。出席した専門家らは、長江流域の湿地保護の状況は楽観視できないと指摘している。
長江流域の洞庭湖(湖南省)では、水域面積が中華人民共和国建国(1949年)初期の4350平方キロから現在は2650平方キロに減少、渇水期には500平方キロ未満にまで落ち込んでいる。湖北省の洪湖国家級自然保護区では、水質汚染や水面の縮小などにより、多くの生物種が失われている。
◆砂漠化進む
中国林業大学自然保護区学院の雷光春教授によると、長江中流の湿地は50年代に比べ70%が失われている。湿地保護の措置は一部の地域では顕著な成果を上げているが、全体的にはなお厳しい状況だ。
中国科学院生態環境研究センターの欧陽志雲研究員によれば、長江流域の生態系は過去10年ほどにわたり後退が深刻で、水による土壌流出面積は全流域の32.3%におよんでいる。
また国家高原湿地研究センターの田昆・常務副主任は、長江源流の湿地や湖沼は縮小により塩分濃度が高まり、砂漠化が進んでいる。利用可能な草地面積のうち50%超が後退し、このうち約10%が粘土質の土壌になっている。
2014年以降、中国共産党中央と国務院(内閣)は長江経済ベルトの建設を進める重大戦略を打ち出している。経済ベルト地域で長江流域にある9省2市の面積は計205万平方キロで、長江本流の6397キロのうち5326キロがこれらの地域を通過、湿地面積は1154万ヘクタールに上る。
欧陽研究員は「長江流域は中国の経済成長と天然資源の活用、生物多様性の保護の対立が最も激しい地域の一つだ」と指摘している。