厚生労働省は、介護職員の事務負担を軽減するためタブレット端末など情報通信技術(ICT)機器を活用して書類作成作業の効率化を図る。負担の重さを離職理由に挙げる人もおり、人材確保策の一環とする。
政府は2020年代初頭までに特別養護老人ホームなど介護サービスの受け皿を計50万人分増やす方針だ。介護現場は人手不足が慢性化しており、計画の実現には約25万人の職員が足りなくなると推計している。
介護保険制度では、報酬を請求するのに利用者ごとにサービス計画を立てたり提供記録を残したりするほか、会議や苦情の記録などさまざまな書類を用意する必要がある。現場からは「煩雑な事務作業に追われ、本来の仕事ができない」「書類作成の負担が大きく離職する職員がいる」との声が上がる。
厚労省は16年度から、全国10地域でICTを活用したペーパーレス化のモデル事業を実施する。訪問・通所介護などの居宅サービスで(1)タブレット端末でヘルパーが職場に戻らずに介護記録を作成(2)医師やケアマネジャーがインターネット上でサービス利用者の情報を共有-などの取り組みを想定する。