バンコクの高級スーパーに並んだ日本酒や焼酎=2月15日(共同)【拡大】
タイで日本酒メーカーの進出競争が激化している。現地で暮らす日本人が多いうえ、和食ブームを背景に日本酒の需要が増えており、業界は東南アジアの有力拡大市場と期待。大手や中堅だけでなく、生き残りへの活路を見いだそうと競争に参戦した地方の小さな老舗酒蔵もある。
首都バンコクの高級スーパー。白鶴酒造(神戸市東灘区)や月桂冠(京都市伏見区)など大手メーカーの商品が並び、タイ人が品定めする光景をよく見かける。「100社を超えるメーカーが進出し、競争は激しい」。タイ駐在の日系流通業者が指摘した。
タイに在留する日本人は6万4000人以上。和食店は2000軒ほどあり、日本酒を置く店も多い。日本人の需要に加え、近年の和食ブームや日本文化への関心の高まりから、日本酒をたしなむタイ人も富裕層を中心にじわじわと増えているという。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、2015年にタイが日本から輸入した日本酒は総額約6400万バーツ(約2億円)。11年の2倍近くに増えた。財務省によると、東南アジアではシンガポールに続く市場となっている。