環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)関連法案には、11の法律に関する改正事項が盛り込まれている。主な内容をまとめた。
【著作権法】
作者の死後50年としてきた書籍や音楽の著作権保護期間を米国などと同じ70年に延長する。作者の遺族らが使用料を得られる期間は長くなるが、著作権が切れた作品を無料や廉価で楽しめる時期は先になる。映画の保護期間は既に公開後70年。
違法コピーなどの著作権侵害行為は、現在は作者らの告訴がなければ摘発できない。法改正で、海賊版の大量販売といった営利目的の悪質な行為については捜査当局の判断で迅速に取り締まれる「非親告罪」にする。
パロディー作品は、創作の多様性を尊重するため摘発強化の対象から外す。
【畜産物価格安定法】
関税削減で影響が懸念される牛・豚肉の畜産農家に対する交付金制度を拡充。法制化して恒久的な制度にするとともに、法改正後、省令で粗収益が生産費を下回って赤字が出た場合の補填(ほてん)割合を現行の8割から9割に引き上げる。
牛・豚肉は日本が国会決議で保護を求めていた農業重要5項目のひとつ。牛肉は関税が現在の38.5%から協定発効16年目に9%まで段階的に引き下げられ、豚肉も安い価格帯で1キロ482円の関税が10年目に50円に下げられることが決まっている。このため経営安定対策を充実させ農家の不安を解消する。
【地理的表示法】
国が地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する「地理的表示保護制度」について、TPP参加国を念頭に諸外国と互いに保護できるようにする。日本食材の高品質なイメージを守り、輸出の拡大を目指す。
日本では北海道の「夕張メロン」など10産品が登録されているが、保護の効力は国内にしか及ばなかった。相互保護により海外で偽ブランドが出回った場合、その国の当局が取り締まりを実施する。