■財政・金融政策に依存せず生産性向上で成長を
民進党は国民一人一人が幸せな生活を送ることが政治の目的であり、そのための手段として、持続的な経済成長は非常に重要だと考えている。その実現に向けては「成長と分配の両立」が不可欠だと考える。今回はこのうち「成長」について説明する。
安倍晋三政権は「3本目の矢」として「民間投資を喚起する成長戦略」を掲げるが、これは民進党の基本的なコンセプトと一致する。ただし、派遣労働の拡大など具体的な政策では考えを異にするところも多い。実は、政府として「成長戦略」を策定したのは旧民主党政権が初めてだった。それまでの政権には公共事業の追加、現金給付など一時的な需要を追加する「景気対策」はあったが、中長期的な視点から総合的・体系的な成長戦略を定めたことはなかった。
民主党政権が定めた「新成長戦略」では、省エネ・再エネ技術を生かしたエネルギー産業、高齢化による需要拡大が想定できる医療・介護などの健康関連産業、そして観光産業を明確に「成長産業」と位置づけた。昨今、外国人観光客、とりわけ中国人観光客の「爆買い」が話題になっているが、これも「新成長戦略」で「中国人のビザ取得要件緩和」「オープンスカイ(航空運賃や路線設定の原則自由化)」を定めたことがきっかけとなっている。