協同組合の貸付金の受領に集まった村人たち。受け取った金の大部分をその日のうちに別の借金の返済に充てる人が多いという=1月、エーヤーワディ管区域パテイン県のズィーコウン村(筆者撮影)【拡大】
■農業・農村100日計画は盛り込み過ぎ?
ティンチョー新大統領の下、4月に発足した国民民主連盟(NLD)政権は、大統領の上に立つアウンサンスーチー国家顧問の号令により、第1次100日計画の策定に忙殺されてきた。新政権は、発足前からその政策立案および実施能力に懸念が持たれてきたが、スタートダッシュでこれを払拭することが計画策定の狙いである。
この100日計画の内容が、各省庁や州・管区域政府別に、5月中旬以降、順次公表されている。
今回は、旧農業灌漑(かんがい)省、畜水産省、協同組合省の3省が合併して12の局を持つ巨大官庁になった農業・畜産・灌漑省の同計画をレビューしてみることにしよう。
◆局別に具体策提示
農業・畜産・灌漑大臣のアウントゥー博士は、国営新聞の取材に対し、同省が行うべきことは28種類ある、と答えた。その概要は、官民の人材育成、農業関係投入財に対する財政的助成、農業に関する研究開発の促進と普及、諸灌漑施設の維持と新設、家畜・家禽(かきん)の防疫、伝統的な農業・畜産技術の保護と普及、といったものである。
さらに事務次官と関係局長がより具体的に100日計画の内容を説明している。その主要項目は以下のとおりである。
【農業局関係】
・農作物の損害を最小にする。そのための研修を地域ごとに行い、土地に合う作物への切り替えを進める。
・安全無害で栄養のある作物を生産するため、違法に輸入・販売されている農薬や肥料を使用しないよう、検査と摘発を実施する。
【灌漑局関係】
・灌漑システムの近代化を実施する。南北ナウィン、ウェージー、タウンニョーなどのダムの改修を行う。
・年間発電量1億7000万キロワット時を見込めるミッターダム計画を履行する。
・ザルン郡で30万エーカー(1エーカーは約0.4ヘクタール)の洪水防止計画を実施する。