仲裁裁判 2000年、日本も当事者に

2016.7.13 05:00

中国が埋め立てて滑走路を建設した、南シナ海・スプラトリー諸島のファイアリクロス礁=2015年9月(CSISアジア海洋透明性イニシアチブ・デジタルグローブ提供)
中国が埋め立てて滑走路を建設した、南シナ海・スプラトリー諸島のファイアリクロス礁=2015年9月(CSISアジア海洋透明性イニシアチブ・デジタルグローブ提供)【拡大】

 ■ミナミマグロの調査漁獲めぐり豪・NZと

 南シナ海問題で12日に判断を示した仲裁裁判所による手続きは、海洋資源の利用や境界画定をめぐる国家間の紛争を解決する制度の一つとして、1994年発効の国連海洋法条約で定められた。日本もかつてミナミマグロの調査漁獲をめぐって当事者となったことがある。

 排他的経済水域(EEZ)の海域区分などを新たに設定した同条約は、条約の適用や解釈に関し加盟国間で紛争が生じた場合に解決する手続きを定め、国際海洋法裁判所(ドイツ・ハンブルク)の設置も規定した。

 各加盟国は同裁判所や国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)などの選択肢で、どの解決手続きを受け入れるか宣言できる。だが紛争当事国が同じ手続きを受け入れていない場合、仲裁裁判所に判断が委ねられる。「裁判所」とはいえ常設ではなく、事例ごとに5人の仲裁人を選任して設置される。原則として上訴は認められない。裁判事務は常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が担うのが通例だ。

 国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が初めて設けられたのは、オーストラリアとニュージーランドが日本にミナミマグロの調査漁獲の中止を求めた争いだった。2000年の判断は同裁判所には「管轄権がない」として訴えを門前払いした。

 近年ではバングラデシュがインドと争ったベンガル湾の海の境界画定で判断を示したケースなどがある。(ハーグ 共同)

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