農林水産省は、体に良いとされる成分を多く含んだ農産物を使って、地域で生活習慣病を予防する取り組みの支援を始めた。公募で福岡市など5地域をモデルに選んだ。調理法の開発や効果の検証にかかる費用を補助する。健康食品の市場を活性化させ、国産農産物の消費拡大を目指す。
昨年4月に始まった「機能性表示食品制度」を利用する。生鮮食品や加工食品で、安全性や機能性の根拠を国に届け出れば「おなかの調子を整えます」などと表示できる。健康食品としてブランド化すれば、農家らの収入増も期待できる。
2016年度予算で「健康な食生活を支える地域・産業づくり推進事業」として関連事業も含め3億8800万円を計上。
自治体や農家、食品メーカー、大学などが立ち上げたそれぞれの地域協議会が戦略を練り、機能性表示食品制度への登録を目指す。
公募で選ばれた新潟県上越市やブルボンなどは、デンプン成分「アミロース」を多く含んだコメをおいしく食べられる炊飯方法を開発し、糖尿病を減らす。
神戸市やフジッコなどは黒大豆を使ったメニューを開発し、働く女性の食生活を改善。佐賀市や佐賀大学、新日本製薬(福岡市)などはキクイモを活用し、生活習慣病を予防する。
ほかに、長野県松本市や信州大学などの大麦、福岡市や中村学園などの柿やトマト、黒大豆を使った取り組みが選ばれた。農水省の担当者は「5つの地域をモデルケースにして、他の地域にも波及させたい」と話している。
既に機能性表示食品制度に登録された生鮮食品は、JAみっかび(浜松市)の温州ミカンなど3品目にとどまる。農水省は、生産者や食品企業が制度を活用しやすくするため、ガイドラインを整備したり、研修を実施したりする。