政府は8日、経済財政諮問会議を開き、年末に向けて重点的に取り組むべき課題を議論した。民間議員は配偶者控除と配偶者手当の見直しを挙げ、年内に道筋を明らかにするよう政府に求めた。働きたい女性が働ける環境を整えるため、税制面からの一層の後押しを促した。
所得税の配偶者控除については、政府税制調査会が議論してきたが、結論は出ていない。与党の税制調査会は2017年度税制改正での見直しに意欲を示しているが、専業主婦家庭の負担増につながる可能性があることから反対意見も多く、年末に向けて議論が進むかは不透明だ。
民間議員が配偶者控除や配偶者手当の見直しについて、期限を明示して対応を求めるのは異例だ。安倍晋三首相は会議で「未来のあるべき経済構造を展望しつつ、今必要な改革に取り組む」と述べた。
控除の見直し議論では、配偶者の年収を問わずに一定額を世帯主の収入から差し引く「夫婦控除」に変える案が有力視されている。14年11月に政府税調がまとめた論点整理では、配偶者控除を廃止する案や所得制限を設けて残す案も示されていた。
会議ではほかに高額療養費制度の見直しや、財政を圧迫している高額薬剤の価格引き下げについても年末に向け方向性を打ち出すべきだとの意見が出された。また企業が賃上げを続けられる環境をつくるため、過去3年間の政策を検証する。研究開発に民間資金を活用するための方策も検討課題として挙げた。