円高100円突破「定着」を警戒、背景に米利上げ観測後退 日銀限界論も (1/2ページ)

 円相場がここにきて1ドル=100円を突破している最大の背景には、ドル高要因となる米国の早期追加利上げが見通せないことがある。ドルが買われにくい裏側で円が買われやすくなり、円高ドル安を招いている。当面は円高基調が続くとの見方が多く、1ドル=100円を超す円高水準が定着しかねない懸念も出てきた。

 英国の欧州連合(EU)離脱問題に伴う市場の混乱は落ち着きつつある。米国の株価指数は最高値圏にあり、米原油先物相場は約1カ月ぶりの高値で推移。投資家がリスクを取りやすい状況にあり、本来なら、比較的安全な資産とされる円は売られやすいはずだ。

 だが、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「市場の関心が米国の金融政策に一段と向かっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げに前向きな姿勢を示さない限りは、ドルが買いづらく、円高基調は変わらないだろう」と指摘する。

 円は16日に一時1ドル=99円55銭まで急伸したが、FRB高官が9月の追加利上げの可能性に言及したと伝わるなどして17日に一時1ドル=101円台をつけた。だが、追加利上げを急がないと受け止められた7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、円買いドル売りが再加速した。