中国政府、赤字続き「国有ゾンビ企業」整理に1兆5千億円規模の基金発足 国内抵抗勢力牽制も

 【上海=河崎真澄】中国政府は赤字続きの「国有ゾンビ企業」を整理し、過剰な生産設備や人員削減を支援する「中国国有資本リスク投資基金」を18日に発足させた。ゾンビ企業をめぐる構造改革は、9月上旬に浙江省杭州で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議でもやり玉に挙がる見通し。先手を打って対策を取ることで国際社会の批判をかわす一方、ゾンビ企業に既得権益をもつ国内の抵抗勢力も牽制(けんせい)する狙いだ。

 19日付の中国紙、21世紀経済報道などが報じた。基金は1千億元(約1兆5千億円)を中国建設銀行や中国郵政貯蓄銀行などが拠出してスタート。民間資本も取り込みながら将来的に2千億元まで引き上げる。

 ゾンビ企業の問題では今年3月、李克強首相が全国人民代表大会(全人代=国会)の席上、統廃合の過程で鉄鋼や石炭などの分野で約180万人の従業員が解雇されるとして、退職手当や配置転換の費用に1千億元を用意すると表明していた。18日発足の基金は、その具体策の一環となる。

 中国では計画経済時代から、多くの国有企業が需給バランスを無視して経営を行い、生産設備や在庫、人員が過剰となって大幅な赤字に陥っていた。しかし、独占的な権益を持つ国有企業に群がる地方政府などが、雇用の確保や補助金を当て込んで抵抗していた。

 大量の失業者が出て不満の矛先が政府に向かうなど、社会不安の増大を懸念していた面もある。一方で、鉄鋼分野などで安価な製品を大量に輸出し、国際市況を暴落させて国際社会から構造改革を迫られていたこともあり、国内外に対策をアピールする形だ。

 G20は先月、財務相・中央銀行総裁会議で採択された共同声明で、「鉄鋼などの過剰生産能力は共同対応が必要な世界的課題」との文言を盛り込んでいた。