【上海=河崎真澄】過剰な生産設備が問題視されている中国の鉄鋼業界で、赤字続きの「ゾンビ企業」が半数以上に達しているとの報告書を、中国人民大学が15日までにまとめた。地元の雇用を守りたい地方の当局が補助金で“輸血”して延命させているという。
中国紙、中国青年報などが伝えた報告書の内容によると、2013年の段階で鉄鋼業界の上場35社のうち51・4%にあたる18社までが、債務超過など深刻な経営不振にあえいでいた。
しかし、鉄鋼の生産設備が立地する地方当局は、多数の従業員を抱える工場がなくなると、失業問題で社会不安が起こりかねないと警戒。同時に資材納入業者など複雑な地元の利害もからみあい、工場の土地使用料の減免などで便宜を図り続けているのだという。
中国政府は鉄鋼など生産過剰の業界でゾンビ企業の統廃合を進め、その過程で生じる約180万人の失業対策に1000億元(約1兆5300億円)を拠出する方針を今年3月に打ち出したが実施は難航している。
報告書は上場企業の「ゾンビ比率」で、不動産が44・5%の61社と指摘。公共事業や自動車、軍需関連なども軒並み10%以上だった。