サムスン欠陥スマホで韓国財閥またも不名誉 「火を噴く製品」イメージ定着も

 【ソウル=名村隆寛】韓国のサムスン電子が、新製品のスマートフォンの欠陥により生産・販売停止に追い込まれた問題で、韓国の財閥がまたも不名誉なかたちで注目を浴びている。特に今回は、韓国最大の財閥サムスングループを牽引(けんいん)してきた中核企業の不始末でもあり、韓国社会は低迷する経済の行方を不安視している。

 韓国では、2014年に起きた大韓航空の前副社長による旅客機引き返しの「ナッツ・リターン事件」や、今年のロッテの「お家騒動」と裏金・脱税疑惑など、財閥の不祥事が相次いだ。いずれも同族支配・経営による財閥の“傲慢さ”に世論の不信感が高まった。

 今回のサムスンの問題は海外のライバル企業を意識し、新製品発売を急いだ結果、自ら招いた面がある。業績を上げるため、何事も早く早く-という韓国らしい性急さや、安定経営からくる慢心が、サムスンの判断や決断に災いした格好で、大多数の韓国メディアもそれを認めている。

 サムスンの製品では今年、米国などで洗濯機が燃えたという物騒な問題も伝えられている。サムスン製品は“火を噴く製品”というイメージは世界に拡散。「世界的な携帯電話メーカー」(ハンギョレ紙)の不始末に、「携帯電話の技術力だけは世界最高という評判にヒビが入りかねない」と、韓国が誇るトップ企業のイメージ低下が懸念される事態となっている。

 サムスン電子とともに、韓国の製造業を代表する財閥の現代自動車では、米国で生産した車でエンジンの欠陥が発覚し、修理費を全額補償するという。両社の売上高は韓国の国内総生産(GDP)の30%を超える規模だ。その技術に世界が首をかしげる現実を前に、韓国財閥のあり方が改めて問われている。