【新興国に翔ける】アフリカのタンザニアで見た中国の脅威 ビル建設も安値で次々と受注 (1/3ページ)

 □スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹

 最近、タンザニア最大の都市、ダルエスサラームを訪れる機会があった。タンザニアはアフリカにおいては経済が比較的発展している国だ。それでも、インドネシアの国内総生産(GDP)が8600億ドル(約89兆5260億円)であのに対して、タンザニアは450億ドルで、およそ19分の1に過ぎない。インドネシアと比べると発展の度合いはそれほど高くないことがわかる。

 日本企業は現在、インドネシアをはじめとした東南アジア諸国連合(ASEAN)各国に注力している。一方で、アフリカには既に多くの中国企業が参入し、ビジネスを展開している。

 これから豊かになっていけるかどうかという状況にあるアフリカでは、消費者向けビジネスよりも、インフラ事業を中心にビジネスが展開されている。そんな中で特に目についたのが、中国の建設会社の躍進だ。

 タンザニアに到着して空港から車で最大都市ダルエスサラームに入って最初に驚いたのが、街並みが20年前の中国と同じような印象を受けたことだ。

 一般的に、ビルの構造や外観には国によって特徴があるものだが、ダルエスサラームの街並みはひと昔前の中国そのものだった。

 調べてみると、案の定、多くのビルの建設会社は中国企業だということがわかった。ほとんどのビルは、現地で一から設計したのではなく、過去に中国で建設したことのあるビルの設計を流用したようだ。まるで、均質化したコモディティ製品を量産するかのごとく、遠いアフリカの地で次から次にビルを建てる中国企業には、正直、驚きを隠せなかった。